予備的遺言は「第一候補が先に亡くなった場合」に備える定めです
特定の人に財産を相続させる遺言を作っても、その人が遺言者より先に亡くなることがあります。その場合に誰へ財産を渡すかをあらかじめ定めておくのが予備的遺言です。
基本的な考え方
「妻○○が遺言者より先に死亡していた場合には、前条の財産を長男△△に相続させる。」というように、第一の取得者がいない場合の第二順位を定めます。
家族関係に合わせて設計する
子の代襲相続、再婚、前婚の子、相続人以外への遺贈などがあると、単純な文例では意図どおりにならないことがあります。誰が先に亡くなった場合に、誰へ渡すのかを図にして整理すると分かりやすくなります。
公正証書遺言も検討
財産や家族関係が複雑な場合は、公正証書遺言を利用し、作成前に公証人や専門家へ相談する方法があります。
2020〜2021年公開時の記事を参考として読む
制度・料金・サービス・実務は現在と異なる場合があります。現在の情報は、このページ上部の2026年更新部分を優先してください。
自分にもしものことがあったら、家族や大切な人に財産を渡したい。
そう考えるのは、当然のことです。
しかし、自分より先に財産を渡す相手が亡くなってしまったら、どうなるのでしょうか。
そういった場合に備えて遺言を残すことも可能です。
相続人が自分より先に亡くなるかもしれない場合
遺言者が亡くなる前に、財産を渡す相続人が死亡していたときは、その遺言書は効力を発揮できません。
遺言者と相続人が、同時に亡くなっても同様です。
遺言書に別途、他の相続人へ財産を渡す記載があった場合には、その部分は有効に効力を発揮できます。
亡くなっていた相続人に譲るはずだった財産は、指定のない財産となるので、その帰属は、相続人間の遺産分割協議によって決められます。
それでは、折角遺言書を書いたのに、紛争が避けられそうもない場合もあるので、予備的に次の相続人を指定しておくことができます。
このような遺言のことを「予備的遺言」といいます。
遺言執行者も財産を取得する人自身に指定しておいた方が、円滑に手続きが運びますので、予備的に指定しておくとよいでしょう。
夫婦がお互いに財産を相続させたい場合
夫婦が互いに財産を築きあった場合に、まずは残された配偶者に財産を残し、ゆくゆくは子ども達へ残したいと考える方もいらっしゃいます。
しかし、遺言書の方式として、1つの遺言書に共同して2名以上が残すことはできないとされています。
これに違反した証書は、全部無効となります。
上記記載例のとおり、お互いに相手へ譲る遺言を個別に作成しなければなりません。
理由として、遺言は本人の自由な意思で書かれるもののはずが、同一の遺言書では、相互に影響し合っていて、真意か否か疑問が生ずる為とされています。
共同の内容で遺言が書かれていると、片方しか自書していなくても、両方とも無効とした判例もあります。(最判昭56. 9 .11判時1023・48)
また、上記の予備的遺言を組み合わせて、お互いに残しておくと特定の子供へ残すこともできます。
指定した相続人が亡くなり他人へ遺贈する場合
予備的遺言は、相続人に限らず、相続権を持たない第三者へも渡すことができます。
子供がいない夫婦が、世話になった方へ財産を渡したい場合に利用することができます。
自分の兄弟姉妹しか相続人がいない場合には、他人へ全ての財産を遺贈しても、兄弟姉妹には遺留分がないので、相続人から第三者へ請求されることもありません。
ポイント
人が亡くなる順番を自分で決めることは、できません。 自分が遺言書を残しても、財産を渡したい相手が先に亡くなることは、珍しくないのです。
様々なケースが想定されますが、上記の場合には、予備的に年齢の若い方を指定して置いた方が、折角の遺言が失効しません。
想定と現実が異なった時に、遺言者が再度遺言書を作成できる状態にあるとは限りませんので、先々を見据えた遺言書の作成が大切です。

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