遺留分に反する内容を書いたから直ちに遺言全体が無効になるわけではありません
一定の相続人には遺留分があり、遺言や贈与によって遺留分を侵害された場合、相続開始後に遺留分侵害額請求が問題になることがあります。
「有効か無効か」だけでなく、残された家族の負担を考える
特定の人へ財産を集中させる必要がある場合でも、他の相続人の遺留分、現金で支払える余力、家族関係を確認して遺言内容を検討します。
不動産だけを一人に相続させる場合などは、遺留分への対応資金まで考えておくと、相続開始後のトラブルを減らしやすくなります。
2020〜2021年公開時の記事を参考として読む
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遺留分とは、一言でいうと「相続人に法律で保障された最低限の相続分」のことです。
もし、最低限の相続分さえもらえないような遺言が残されていた場合には、どうなるのでしょうか。
無効になるのか、遺言の方が優先されてしまうのか。
なるべくなら、そういった疑問の余地がない遺言書を残したいですが、どうしようもなかったり、書いた後に事情が変更してしまうこともあるのです。
遺留分とは?
自分自身の財産を自由に使っていいように、亡くなった後も、自分の遺産を誰にどのように相続させるかは、遺言者の勝手かもしれません。
また、相続人ではない第三者へ財産を渡すかどうかについても、本人の意思が尊重されています。
遺言書を作成すれば、法定相続人や法定相続分にかかわらず、遺言者の自由意思で遺産を譲ることができます。
しかし、法律は、残された相続人の生活を保障するために、遺言によっても奪うことのできない最低限の遺産を取得する権利を法定相続人に認めています。
この相続人に保障されている、最低限取得できる権利のことを、「遺留分」といいます。
遺留分の割合
相続が起きると、法定相続人は自分の法定相続分に応じた遺産を取得するのが原則です。
法定相続分以外の割合で相続をするには、相続人の間で遺産分割協議をしたり、相続分を譲渡したりする方法があります。
しかし、遺言者は、自分が亡くなったときに相続人たちが揉めないために、自分の財産を誰に渡すのかを遺言で決めておくことができます。
遺留分がある相続人とその割合は、以下のとおりで、兄弟姉妹が相続人になるときは、遺留分がありません。

遺留分の割合は、
被相続人の配偶者又は子が相続人になる場合は、被相続人の財産の2分の1。
直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1です。
遺留分のある相続人は、相続欠格や廃除等によって、相続人としての地位を失わなければ、自分で放棄をしない限り、遺留分を保証されます。
遺留分が遺言よりも優先されますが、遺留分を侵害する遺言が無効になるわけではありません。
遺留分侵害額請求権
遺留分を遺言によって侵害された相続人は、他の相続人や財産を受けた人に対して、遺留分侵害の限度で財産の返還を請求することできます。
この権利を「遺留分侵害額請求権」と言います。以前は遺留分減殺請求権と言われていました。
遺留分を侵害する遺言もそれ自体は有効なので、遺留分侵害額請求しない場合は、そのまま遺言の内容に沿って遺産が承継されます。
遺留分侵害額請求権の期限
なお、遺留分侵害額請求には時効があります。
「遺贈があったことを知った時から1年間行使しないとき」又は「相続開始の時から10年を経過したとき」に、遺留分侵害額請求権は時効となり、請求することができなくなります。
遺留分侵害額請求をされない遺言書を
家族のことを心配し、揉めないようにと遺言書を作成しても、残された家族間で遺留分の請求があったのでは、意味がありません。
なるべく各相続人に、遺留分を下回らないような財産を配分しておくことが大切です。
生前に前もって財産を受けていた相続人に、遺留分侵害額請求をしないことを求める遺言も残せます。
しかし、これは、附言事項であり、法的に拘束することはできません。
ただ、遺留分を侵害している遺言を残した理由を書いておけば、遺留分侵害額請求をしないよう納得してもらえるかもしれません。
遺留分は放棄できる
相続放棄と同様に遺留分も放棄できます。
遺留分の放棄とは、遺留分侵害額請求をする権利を放棄することです。
遺言者の生存中に限り、家庭裁判所に遺留分放棄の許可を申立て、行うことができます。
遺言者の生前中に、ある相続人が既に相続分を超えるような財産を譲り受けていたような場合に、自己の相続分をもらわないことを納得する時もあります。
しかし、それでも、遺言者が亡くなった後に経済的事情等が変わったりして、争いが生じることもあるのです。
そういった場合に備えて、遺留分放棄をしてもらっておくことで、無用な争いが生じるのを避けることができます。
まとめ
遺言を残すということは、何かしらの心配があるからかもしれません。
遺言者が家族円満で、何の心配もいらないと思っていても、亡くなった後に紛争になることは、珍しくないのです。
色んな事情があると思いますが、各相続人に最低限保証された遺留分を超えるように残した方が、残された者も困りません。
そんなに簡単に分けられないとは思いますが、あらゆるパターンを考えて、遺言を残しましょう。

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