完済しても登記記録の抵当権は自動では消えません
住宅ローンなどを完済し、担保する債権がなくなっても、登記記録上の抵当権を消すには抵当権抹消登記が必要です。
「必ず相続登記を先にする」と決めつけない
所有者が亡くなった時期と抵当権が消滅した原因・時期によって、申請の組み立てが変わる場合があります。金融機関から交付された解除証書・弁済証書、委任状などを確認し、相続との前後関係を整理します。
書類は早めに確認
金融機関の合併や抵当権者の商号・本店変更などにより追加手続が必要になることがあります。完済時に受け取った書類を長期間放置せず、内容を確認してください。
2020〜2021年公開時の記事を参考として読む
制度・料金・サービス・実務は現在と異なる場合があります。現在の情報は、このページ上部の2026年更新部分を優先してください。
「相続登記と一緒にしておいた方がいい手続き」として「抵当権抹消」についてご説明致します。
抵当権とは
抵当権とは、お金を借りた債務者が借入金の返済をしなかった場合に、不動産を換金し、他の債権者に先立って、その不動産から優先して返済を受けることができる権利のことです。
一般的には、住宅ローンを組んで、銀行からお金を借りる時によく利用されます。
銀行は、債務者がローンを返済できなくなったときの為に、建築した建物や土地に抵当権を設定します。
万が一返済が滞った場合には、抵当権を設定した土地や建物を競売にかけて、その売却代金から、貸し付けたお金の回収をすることができるのです。
抵当権抹消登記とは
抵当権抹消登記とは、不動産に設定されている「抵当権」を消す手続きのことをいいます 上記の住宅ローンを完済した場合に、しなければならない登記です。
不動産の所有者が亡くなっている場合は、ご健在な方へ相続登記による名義変更を済ませてからでないと、抵当権抹消登記を申請することはできません。
ただし、共有で持ち合っている場合には、ご健在の方からできる場合があります。 住宅ローンを完済すると、銀行が司法書士を紹介してくれる場合がほとんどです。
司法書士に任せれば、全てやってもらえますが、相続登記をご自身完了させた経験を持った方ならば、それほど難しい手続きではありません。
機構団体信用生命保険特約制度
ちょっとややこしい名前ですが、機構団体信用生命保険特約制度は、通称「団信」と呼ばれています。
「団信」は、住宅ローンを借りる際に、融資の条件となっている場合が多いので、入っている方が多い制度です。
「団信」を利用している加入者が、死亡または所定の高度障害状態になった場合、残りの住宅ローンが全額弁済される保障制度です。
その為、住宅ローンを残したまま亡くなられた場合は、相続登記の完了後に抵当権抹消手続きをしなくてはならない場合も出てきます。
抵当権抹消登記をしなかった場合
抵当権の抹消登記は、相続登記と同様に期限がありません。 住宅ローン自体は完済されていますので、放置しておいても日常の生活で困ることはありません。
しかし、将来的に不動産を売却しようしたり、新たに担保に入れて融資を受けようと思った場合でも、抵当権が付いたままでは思うようにことが運びません。
金融機関からは、抵当権抹消登記に必要な書類自体を交付してもらえますが、その書類を紛失してしまうと、後になって余計な手間と費用がかかってしまいます。
また、抵当権抹消登記に必要な書類が、将来的な金融機関の合併等で増えてしまうかもしれません。
なるべく早く抵当権の抹消登記をした方が、賢明です。
抵当権抹消に必要な書類
住宅ローンを完済すると、抵当権抹消に必要な書類を発行してもらえます。
金融機関によって異なりますが、銀行の融資窓口で手渡ししてくれる金融機関もあれば、郵送で送付する金融機関もあります。
金融機関から交付される書類は、おおよそ下記のとおりです。
抵当権抹消登記申請書
登記申請の仕組みは、相続登記と基本的に同じです。
この記載例を元に作成していくと、スムーズです。
申請書の記載事項
抵当権抹消登記申請書に記載しなくてはならない項目は、下記のとおりです。
登記の目的
順位番号に加えて、「抵当権抹消」と記載します。
順位番号ではなく、抹消する抵当権を、登記事項証明書に記載してある「受付年月日」と「受付番号」で記載しても大丈夫です。
原因
金融機関から交付された、「解除証書」や「弁済証書」を元に記載します。
証書の日付に合わせて「令和○年○月○日解除」や「令和○年○月○日弁済」と記載します。
権利者
登記事項証明書に記載してある所有者の住所氏名を記載します。
相続登記で名義を変更した後なら、名義を取得した方の住所氏名を記載することになります。
義務者
抵当権者の本店や商号を記載します。
具体的には、銀行など金融機関の本店、主たる事務所の所在地、商号、代表者の氏名を記載します。
この記載は、金融機関の「登記事項証明書」を元に記載し、添付書類として一緒に提出します。
会社法人等番号を記載すれば、金融機関の登記事項証明書の添付は不要になります。
添付情報
ここには、申請書と一緒に提出する書類を記載します。
登記識別情報又は登記済証
金融機関等、抵当権者が保管していた登記識別情報を封筒に入れて、一緒に提出します。
この封筒には、「登記識別情報在中」と記載しておかなければなりません。
抵当権が設定された時期が古く、抵当権者から交付された書面が登記済証(抵当権設定契約書に法務局の印鑑が押されたもの)だった場合は、その原本を提出します。
登記原因証明情報
登記原因証明情報とは、登記の原因となった事実または行為およびこれに基づき現に権利変動が生じたことを証する情報を指します。
抵当権の抹消の場合は、金融機関等が交付する「解除証書」や「弁済証書」がこれに当たります。
中には、もともとの抵当権設定契約書に、解除した等の文言が記載され、押印しているだけの場合もあります。
会社法人等番号
抵当権者の登記事項証明書に記載してある、会社法人等番号を抵当権者の欄に記載します。
法人登記事項証明書の一番上の欄に、記載されています。 金融機関から、別途番号だけ案内される場合もあります。
この番号を記載しないと、抵当権者の登記事項証明書を添付しなければなりません。
代理権限証明情報
委任状のことで、代理人に登記申請を依頼する場合に必要です。
登記識別情報(登記済証)を提供することができない理由
紛失等により、登記識別情報または登記済証を提供することができない場合に、チェックします。
この場合、抵当権者の印鑑登録証明書の添付が、別途必要になり、抵当権者の委任状に実印の押印が求められます。
登録免許税
抹消の登記の登録免許税は、土地または建物1個につき1,000円です(何個あっても上限2万円)。
相続登記の場合と同様に、登録免許税納付台紙に収入印紙を貼り付けて、申請書と契印いたします。
収入印紙自体への消印は、法務局がしますので、収入印紙への押印はしないようにして下さい。
不動産の表示
登記事項証明書を元に記載します。
抵当権抹消登記が完了後
法務局より以下の様な登記完了証が交付されます。

この他に、一緒に提出した書類に原本還付の手続きをしていれば、返却してもらえます。
登記完了証の記載で、抵当権抹消登記が完了されたことが分かりますが、別途登記事項証明書を取得して確認した方が、より安心です。

登記事項証明書には、こんな感じで、下線が引かれます。下線のあるものが抹消事項であることを示しています。
まとめ
登記制度は、財産を守る側面もあり、信頼できる制度ですが、自動的になされるものではありません。
自分で行動しないと、現実に変更があった場合でも、登記簿は変わらないままです。
将来的に困ったことにならないよう、その都度やっておくことが大切です。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。




